第9章 AI に画面を作らせるときの見方 — 指示文とレビュー観点、チェックリスト
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ひとことで
第1章から第8章の原則を、AI への指示文と、できた画面を見るときの観点に変えます。守らせたい原則は、毎回のお願いではなく、毎回自動で効く場所(CLAUDE.md や lint)に書きます。
AI が崩しやすいのは一貫性
AI に画面を一つずつ頼むと、画面ごとに言葉・色・配置が少しずつ変わります。一画面だけ見れば正しいのに、並べると第1章の一貫性が崩れている、という形です。対策は二つです。
- 部品を共通にする … ボタン・入力欄・見出しを一か所で定義し、全画面でそれを使うよう指示する。考え方はリファクタリング & プロダクト化の「同じものを二度書かない」と同じです
- 言葉の一覧を渡す … 「保存」「削除」「戻る」など、使う動詞の一覧を最初に決めて渡す
指示文に書くこと
「口頭の注意」は次の会話で忘れられます。AIハーネス入門の考え方どおり、プロジェクトの CLAUDE.md(AI が毎回読む指示書)に書いておきます。例です。
## 画面のルール
- ボタンの言葉は動詞で、押した結果が分かるようにする(「OK」「はい」は使わない)
- 設定の項目名は肯定形「〜する」にそろえる。否定形と二重否定は使わない
- アイコンには必ず言葉を添える。アイコンだけのボタンには代替テキストを付ける
- エラー文は、その入力欄のすぐそばに、直し方つきで出す
- 確認ダイアログは、取り消せない操作にだけ出す
- 色だけで状態を区別しない。文字と背景のコントラスト比は 4.5 対 1 以上
- ボタン・入力欄・見出しは共通部品を使う。画面ごとに新しく作らない
- 一画面の主ボタンは一つ。保存は自動保存か保存ボタンかを一つに決め、保存ボタンなら常に右下
- 手続きが複数の画面に分かれるときは、何段階あり、いま何番目かを出す
- たまにしか使わない設定は「詳細設定」に折りたたみ、よく使う項目には初期値を入れる
- システムが分かること(郵便番号からの住所、生年月日からの年齢)は入力させない。同じ情報を二度聞かない
- 入力の形式や文字種の違いで突き返さない。そろえるのはシステム側で行う
- パスワード欄には表示の切り替えを付け、貼り付けとパスワードマネージャーを禁止しない。メールアドレスを二回入れさせない
- 画面の中に「戻る」ボタンを作らない(入口はあとから増える)。移動のリンクが要るなら「注文一覧へ」のように行き先を書く
機械で判定できるものは、お願いより lint(自動検査)に任せるほうが確実です。アクセシビリティの基本(画像の代替テキスト、ラベルのない入力欄など)は、React なら eslint-plugin-jsx-a11y、Vue なら eslint-plugin-vuejs-accessibility が指摘してくれます。できた画面は、ブラウザに入っている Lighthouse のアクセシビリティ診断で点数が出ます。設定のしかたはAIハーネス入門の lint の章を見てください。
できた画面を見るときの観点
AI が画面を出したら、コードを読む前に画面を開いて、次の順に見ます。
- 3秒テスト … 説明なしで、この画面で何ができるか言えるか(第2章)
- 言葉 … ボタンは動詞か。設定は肯定形か。利用者の言葉か(第3章)
- 一貫性 … 前に作った画面と、言葉・色・位置がそろっているか(第1章)
- 操作の結果 … 押したら何か変わるか。間違えたら戻れるか。エラー文はそばに出るか(第4章)
- 配置 … 塊はいくつか。主役は一つか。押しやすい大きさか(第5章)
- 誰でも … Tab キーだけで通せるか。色だけで区別していないか(第6章)
- 流れ … いまどこで、次に何をするかが分かるか。初期値は入っているか(第7章)
- 入力 … 聞かなくていいことを聞いていないか。書き方の違いで突き返していないか。書いたものが消えないか(第8章)
直すときは、画面を直させるのではなく「ルールを CLAUDE.md に足す」ことを先にします。同じ指摘を二度しているなら、それはルールにするべき合図です。
チェックリスト
言葉
- ボタンの言葉は動詞で、押した結果が分かる
- 設定の項目名は肯定形「〜する」にそろっている
- 技術用語・内部の言葉が画面に出ていない
- 入力欄のラベルが欄の上にあり、入力例で代用していない
見た目と配置
- 同じ操作は、全画面で同じ言葉・色・位置になっている
- 押せるものは押せそうに見え、押せないものと区別できる
- アイコンには言葉が添えてある
- 一画面の主ボタンは一つ。危険な操作は離してある
- 「戻る」ボタンがない。移動のリンクは行き先の名前になっている
操作
- 押した直後に、画面のどこかが変わる
- 取り消せる。取り消せない操作にだけ確認が出る
- エラー文は欄のそばに、直し方つきで出る。入力は消えない
- 手順が複数の画面に分かれるなら、いま何番目かが見える
- よく使う項目に初期値が入り、たまにしか使わない設定は折りたたまれている
- システムが分かることや、前に聞いたことを、もう一度入力させていない
- 形式や文字種の違いで突き返さず、システム側でそろえている
- 書いている途中のものが消えない(自動保存か、入力を残す)
- パスワードは表示を切り替えられ、貼り付けできる。メールアドレスは一回だけ聞く
誰でも
- 色だけで状態を区別していない
- Tab キーだけで最後まで操作できる
- 画像とアイコンに代替テキストがある
出典
この章は、第1章から第8章の出典を指示文と観点に組み替えたものです。lint と診断の道具については次を参照してください。